「怪物王女」の5巻が出ていたので読んできた。
アニメは見てないんだけど、本のほうの公式サイトが見当たらなかったのでこちらを貼っておく。
アニメ公式サイト
どう考えても藤子不二雄Aの「怪物くん」のオマージュ作品なわけで
僕らの世代がちょっと読めばスグに気がつくわけだが、
それを少し設定かえるだけでこんなに面白い作品になるものかと素直に感心する。
未読の方はぜひ読んでいただきたい。
藤子作品のほうは、怪物ランドのプリンスが人間界に住む必要性も
その王子が人間の主人公少年と友情をはぐぐむ理由も漠然としていてリアリティがないのだが
「怪物王女」は王女と主人公の絆がしっかりと必然的な関係になっていて
(5巻では主人公ぜんぜん活躍してないけどね)
ほかの怪物たちが出てくる理由もちゃんと設定付けられているので
これだけいろんな種類の怪物が出てきても違和感なく現実にマッチしてしまう。
舞台設定の工夫で、一見荒唐無稽なファンタジーも現実味を帯びてくるという好例だろう。
主要登場人物を美形の女の子で固めたのも、あざといといえばあざといけど
「怪物くん」のほうは家来の三人組が何の役に立っているのかわからなかったボンクラぞろい(特にドラキュラ)なのに
本作の吸血鬼・令裡は、同じ役立たずでも役立たずの方向性が違うというか
服従心でついてるんじゃなくて、目的と手段が一致したときだけ手を貸す、みたいなトコが、「怪物くん」のドラキュラと異なって
「役に立たない理由」としてはっきり示されてて却って潔い。
それが5巻では、ちょっと関係に進展あって、またよいね。
で、令裡と好対照なリザの服従ッぷりもまた頼もしい。
5巻ではフランドルが姫と文字通り一蓮托生の絆なのも明らかにされたし。
キャラ同士の絆がはっきり示されていると、読んでいて深みが増すという気がする。
あと、この絵柄というかコマのつくりというか、白黒の時代の良くできたホラー映画をちょっと思い出す。
なんだろ、間の取り方というか、画面の余白というかモブや背景の作り方なんかが
昔のホラー映画っぽい感じがするんだよね。
だから、変に緊迫感感じて、実際はさほどホラーものでもないのに
全体がホラーな感じがしてきてるのかも。これは良いところだと思う。
5巻では「王族」の正体が少し明らかになり、デスマッチにも少しだけ進展があった。
姫が負けるときは確実に作品が終わるときだから、最後にはきっと勝ちのこると信じたいのだが
そうなるとアレやアノ人はどうなってしまうのかとか、いろいろ心配で
完結まで気になる作品のひとつだ。
PR